初勝利

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首都は、歓喜に満ちていた。全派遣軍がほぼ総崩れの中、人々は、初めての凱旋パレードを迎えていた。
おさかな師団。9月末に出撃、その後超常現象に乗って一時は圧倒的優勢に立った。その後急速に状況が悪化したが、師団長・まぐろ中将は冷静に部隊をまとめ、最終的にごくわずかな手傷で退却することに成功したのだ。
実際にはわずかと言えども負けなのではあるが、士気低下に悩む総司令部はこれを「初勝利」と喧伝し、まぐろ中将の大将への昇進と、第2次派遣軍総司令官への任命を既に発表していた。
まぐろ新司令官は、第2次派遣軍の戦略につき以下のように献策し、総司令部の了解を得ていた。

  1. 現在の戦況悪化に合わせ、従来の攻勢一方の戦術から防御主体へ転換すること
  2. 具体的には、今までの「攻撃→退却」の2命令から「待機→攻撃→退却」の3命令形態とすること
    • 敵が射程圏に接近している状態で「待機」
    • 射程圏を遠ざかったと判断したら待機を解除、別地区の監視に移る
    • 射程圏内に入ったら「攻撃」